- 2017年3月27日
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印傳の色―更紗―
「更紗」は近世初めにインド・ジャワ・タイ・ペルシャ等から渡った木綿の模様染の総称です。これらは紗羅紗・皿紗・佐良佐・華布・印華布等と記され、暹羅染・牟呂染とも呼ばれました。人物・鳥獣・花鳥・幾何文等が鮮やかな色彩で描かれ、異国情緒あふれる模様は当時の大名や富裕層に珍重されました。
舶来の更紗の影響を受け、江戸時代後期には京都・堺・長崎・鍋島等で「和更紗」が作られました。模様や色使いは徐々に日本的な趣向が取り入れられ、下着や布団・風呂敷等に多用されました。
起源は明らかではありませんが、更紗の技術は木綿のみならず、異素材である鹿革にも及び、財布や莨入・袋物等、様々な身の回り品を華やかに彩りました。
印傳の更紗は、鹿革に模様を付ける技法の一つとして古くから印傳屋に伝わっています。昭和前期までは天然染料が使用されていましたが、現在では発色や色落ち等の優位性に鑑み、科学染料を用いています。単色と多色があり、多色の更紗は一色毎に型紙を替えて色を重ねていきます。時代の変化や好みを模様に取り入れながら、繊細な手作業は今も継承されています。
平成28年3月12日~6月5日(この展示は終了しています。)