信玄袋(しんげんぶくろ)

信玄袋は厚紙を底に入れてマチを作り、袋の口は紐などで締める形の袋です。
大型のものは縦50、横40,マチ25(㎝)以上とかなり大きく、主に旅行用として用いられていたようです。
戦国武将の武田信玄との関係は「甲冑入れとした」「弁当(信玄弁当)を入れた」など諸説ありますが、定かではありません。
信玄袋は女性の進出に伴って明治中期から流行し、口金付きのバッグが出回るまで重宝(ちょうほう)される袋物でした。
模様をはじめ、口紐のくくり方にも技巧が凝らされて「菊袋(きくぶくろ)」「千代田袋(ちよだぶくろ)」とも呼ばれ、象牙(ぞうげ)や角(つの)などの素材による板状の緒締が付属しているものもあります。
大正時代に書かれた『日本嚢物史(にほんふくろものし)』(井戸文人著)によると明治の初めの信玄袋の材は古代帛(こだいきぬ)・鹿革・軟らかい印傳革(ビロード状に起毛させた革)で作られ、角の「挟みゴキ」を用いて紐を通して提げていたそうです。

信玄袋